vol.23 目線や表情で…会話の主役を明らかに
当人と話ができない!?
先日、友人がフェイスブックに、こんな投稿をしていました。
“(知り合いが)くも膜下出血で倒れたと聞き、お見舞いに伺ったところ、(中略)歩行も言語もゆっくりながらできていたのでほっとしました。
でも困ったのは、色々とご質問をしても、全部奥様が答えてしまうこと。
ご本人が、その度ごとに言葉を飲み込んでしまうのがわかる。「奥さんちょっと黙っとって」と言うわけにもいかず…” (一部要約)
実は、似たようなことは、介助者がいる場面でよく起こります。
★銀行窓口の人が、主たる客である車いすの人ではなく、後ろにいる介助者にばかり話しかける
★医師や看護師が、患者ではなく家族にばかり症状について説明する
★聴覚に障害がある人が質問しているのに、手話通訳者ばかりに話す
などなど…要するに、本来なら、障害がある当人と交わすべき会話を、
介助者がしてしまったり、介助者としてしまったりする事です。
私も父の介護をしている時や、母につきそって銀行に行った時などに同じ経験があります。
目線と表情で“主役”を明らかに
私がその時にやってみて効果があったのは、目線をつかって「主役である聞き手」は介助者ではなく、障害がある人・患者であることを、話し手に伝えることでした。
たとえば、友人のようなシチュエーションだった場合は、奥さんが話し始めたら、奥さんの話を聞きながらも、ご主人の方を向いて頷く。そして「○○さん、そうだったんですね〜、合ってます?」など、おどけながら本人に正誤を確認する。
ポイントはできるだけ当人から目を離さないこと。当人がゆっくりでも話し始めたら、一言一言に対し頷く。
家族としても、当人がゆっくりしか話せないのを気にして、自分がフォローしなくては!と一生懸命。そこを、「ゆっくりでも本人に聞きたいんです〜」と、にっこり笑顔と視線で伝える…という作戦です。
私が73才になる母から、「貯金について聞きたいことがあるから一緒に銀行に行って」と頼まれて同行した時もそうでした。
母が質問したのに、銀行窓口の人が、後ろに控えている私に向かって説明しはじめた時も、その人から目線ははずし、母の方をむいてうなずき、時々目線と手振りで「母へ話して下さい〜」と、伝えたり。
実際に口に出して「私じゃなく本人に」「奥さん、少し黙って」というより、数段穏便に会話の主を明らかにすることができます。
しかし、母の場合…
「銀行の話は難しいから、あなたが代わりに聞いて頂戴」と、本人に全く聞く気がなかったりする時は…ああ、しょうがない〜…ですけどね(笑)。
2019.8.9