vol.22 ウォシュレットのバリアフリー的エピソード
最初は医療・福祉機器だったウォシュレット
TOTOさんのウォシュレットは、設備業界における20世紀最大のヒット商品といわれ、今や、日本においては、当たり前になりましたよね。
2002年頃に、開発に携わった人にお話を伺ったことがありました。
ウォシュレットは、実は最初、「医療・福祉機器」として開発がスタートしたもので、様々な苦労の据えてにようやく完成し、医療・福祉分野の市場で売り出したところ…
全く売れなかった!
しかし、「患者さん」を対象に考えていたその商品を、ある日、何気に自分達で使ってみたら「気持ち良い♪♪」…と、なり、
思い切って「一般市場」で売り出したところ、大ヒット商品となりました。
しかし、まだ続きがあるんです。
体に不自由のある人の声が完成度を高める…スパイラルアップ
一般市場で出回るようになって初めて、患者さんや障害がある人達も使い始めました。すると、いわゆる健康な人では気づかない欠陥や、使いにくさがあることが分かりました。
例えば、車いすの人が、便座へ乗り移る時、つい手がかりがほしくて、便座の横のタッチパネルに手をかけ…スイッチがON!
顔にむけて水が噴射されてしまったのです。
その声をうけてメーカーでは、お尻が便座に乗っていないと水が出ないセンサーを取りつける改良を施したと言います。
現在、様々な分野で、「出来るだけ多くの人にとって使える商品=ユニバーサル・バリアフリー商品」が開発されていますが、そうしたメーカーでは広くスパイラルアップという開発手法を取り入れています。
スパイラルアップとは…
新しい商品を開発し、まず健常の人に使ってもらう。
その後に身体に不自由な人に使ってもらい…さらに健常の人→不自由な人を繰り返すことで、渦巻き状に製品レベルや精度を高めてゆく=アップしてゆくという手法です。
超高齢社会の今、身体に不自由がある人の視点や意見は益々重要になっているのです。
2019.8.8