vol.100 私の原点〜一通の手紙のコピー
このコラムも100回目となりました。
毎日お騒がせしております。読んで頂き、ありがとうございます。
今日は、私の原点について、ちょっと書かせて頂きます。
“情報は得た瞬間から誰かに届ける責務を負っている”
なんとはなしに…大切にしている私の信条。その原点は、
NHKで放送の仕事に就き、福祉系の取材を始めた頃、私の手元に届いた一通の手紙のコピーにあります。
今は、もう折り目が切れてしまっていますが、今も大切にしているその手紙が“伝え続ける”私の原点なのです。
ぜんぜん知りませんでした…からの…初めて「どうもありがとう」
前略 先日はお寒いなか、大変お世話になりました。
私共のような、重度の病いを持つものに、あの日は、又、一番混雑する日にもかかわらず、心温まるお世話をして頂き、頭の下がる思いで帰宅しました。
これは、私が取材し放送した、
雪まつり見物をするのに、身体の不自由な人を介助するボランティアがあることを紹介した番組をご覧になった方から、そのボランティア事務局へ届いた手紙のコピーです。
主人は言葉がはっきり話せないので、皆様には大変お気を使わせたと申しており、
すぐにお礼を書いてほしいとのことで、ペンを取りました。
雪まつりに皆様方のようにボランティアで身体の不自由な人をお世話してくれるなどぜんぜん知りませんでした。
前の日、テレビを見て知りました。
少しでも主人を外の空気やにぎやかな町へ連れて行きたい気持ちで無我夢中でお電話しました。
本当に主人も満足し楽しい一日を過ごさせてもらいました。
病気をしてから二人で街へ出歩くこともなかったし帰ってから主人に初めて
どうもありがとうと云われ、二人で泣き笑いしている始末です。
見ず知らずの皆様には良い想い出…(ヌケ)
させて頂き、心から感謝致しております。(中略)
皆様のお心づくしに感動して帰って参りました。本当にありがとうございました。主人に代わってお礼方々ご挨拶まで かしこ
ボランティア事務局の人が、個人情報に繋がる部分は見えないようにコピーし
「山田さんが出した情報で起きたことだよ」と、手渡してくれた手紙。
私はこの手紙を書いた方の名前も知りません。
でも、私が取材し、放送した情報がこの方に届き、行動をおこして下さった方がいたこと。情報が、ご夫婦のお役に立ったことを知ることができ、震えました。
放送している人間にとって、自分の出した情報がどう伝わったかを知ることは皆無、
まず滅多にありません。
しかし、幸運にも、私はこの手紙のコピーで、その届いた先を知ることが出来ました。
福祉系の情報は特に、命と生活に直結していることも多いのに、なかなか必要な情報に辿り着いたり、得る機会が限られているように思います。
私が知り得た以上、誰かに届けたい。
このボロボロになった手紙のコピーを見返し、改めて自分がしたい・すべきことは
“伝える”ことと定め、続けて行こうと心を新たにした次第です。
2019.11.27
ご挨拶:このコラムは、実は暗に300回を目指して書いています(道のりは遠い…笑)。
今日はその1/3。山なら3合目。今後は、少しだけペースダウンし、週2〜3更新して行きたいと思っております。
お時間とお気が向いた時、お目にとまった時にお読み下さり、誰かのお役に立ちそうなら伝えて頂き、利用下さったら嬉しいです。
山田もと子