vol.104 障害にはトリセツが必要

先日、嬉しいメールが届きました。

今年の夏、(株)テレワークマネジメントという 離れた場所にいながら会社で働くことを可能にする技術やシステムを提供する会社からのご依頼で、

6〜7月の2ヶ月かけて「障害がある人のための就職面接 自己紹介・PR講座」を行ったのですが、その受講生の内2人が、見事面接試験に合格し、一般企業で働き始めた…というお知らせでした。zoomでの受講画面

高知県にある2つの就労支援事業所に通う、肢体不自由、精神、視覚など障害も様々な人と札幌の私との間でzoomというテレビ会議システムをつないで行った全8回の講座で、

「声を出してみる」「短いフレーズを話してみる」「無理のない息の使い方」などの実技から始まり、徐々に

「障害をどう説明するか」「仕事としてどういった作業が難しく、逆に問題なくできるのか」といった“自分のことを他人に説明する”コツとテクニックについて、

技術と理屈の両方から学んで頂きました。

最初は簡単な心理テストなどを使い、その都度それぞれに発表してもらう。とにかく言葉を音として出し、話してもらう。

“障害”という、それぞれが独自の言葉をみつける必要がある作業では、1対1でのレッスンも行いました。

そこで、一貫してお伝えしたのが「できるだけ分かりやすく、爽やかに、堂々と伝えましょう」ということ。

採用担当者にとって、雇い入れる人の障害がどういうもので、どういうフォローや配慮が必要なのか?が一番詳細に知りたいポイントです。

そこで言葉を濁したり、出来ない事ばかり言ったり、逆にできることだけ言っても伝わりません。

例えば、視覚に障害があるNさんと言葉をみつける旅をした時には…

私「Nさんの“見えない”理由はどんなところから来ているの?」

Nさん「脳に腫瘍ができて、それが見る神経を圧迫して視野が狭いです」

私「狭いってどんな感じ?トイレットペーパーの芯をのぞいた感じ?」

Nさん「もっと狭いですね…」

私「どれくらいの大きさの文字が読める?」

Nさん「カラオケのテレビ画面の文字くらいっすかね。実際、文字を読む時の感じが

カラオケの文字の色が歌にそってピロピロ変わるじゃないですか、あんな感じで一文字づつじゃないと読めないっす。」

私「その表現分かりやすい!それ使おう!」

 

と、いった具合。

採用担当者は、単に「自分の障害は視野が狭いことです」とだけ説明されても、恐らくピンとこないでしょう。

障害に関わる質問はそもそもどのようにして良いものか分からないですし、繊細な問題でもあり質問しにくい心理も働きます。

ですから、そこは、障害がある側から“分かりやすい具体例を示しながら、爽やかに堂々と”伝える。

具体例から、その人の障害がどういったものが理解できれば、指示する仕事の内容も具体的に検討することができますし、爽やかに堂々と話すことで、

じゃ、これはどうなの?、これについては?と、どうしても障害がある人と話す時について回る「かわいそうで聞きにくい」「気の毒でそこまで聞けない」といった心の壁も取りはらうことができます。

障害を理解するには、障害のトリセツが必要なのです。

今回、就職を果たした2人は、初めての社会人生活だそうです。

そして、自分の障害について説明する機会はどんどん増えるでしょう。

自分の障害について知っているのは自分だけ。

そのテクニック・話術をどんどんブラッシュアップし、会社の戦力となっていってくれることを強く願っています!がんばれ!

2019.12.9

 

 

 

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