vol.106 障害がある人のふところ事情

今日のコラムは備忘録として書かせて頂きます。

先日、就労継続支援事業所を運営している友人のMさんに「障害がある人の賃金や収入=いわゆる“ふところ事情”」について教えて頂きました。

「生きるためのお金」+「障害に対する保障」+プラスα

話を聞くと、障害がある人の収入は大きく分けてこの3つで成り立っているとのこと。

一般的に、いわゆる健常者と分類される人は、働いてお金(給料・対価)を得ることで、この3つを自分でまかないます。

きぬさらさんbyPhotoAC

しかし、障害によって長時間働くことが出来ない人は、多くの場合、「生きるためのお金」として生活保護を受けているそう。その金額がざっくり…

*独身の成人でだいたい11万円。色々な加算がついて最高で約13万円。

 

そこに、「障害に対する保障=障害年金」が足されると思いきや…

Mさん:いえいえ。障害年金には1級と2級があって、

かなり重度の1級で8万2000円/月、2級は6万6000円/月ですが、

その金額を生活保護費から引かれます。

*障害年金2級の独身の成人 11万円−6万6000円=生活保護費 44,000円

合計で11万円になるようになっているんです。

私:ふむふむ…。そうなると、できれば少しでも働いて足りない分を補てんしたいところだね…

Mさん:月15,000円までなら収入と認められないので、生活保護には影響ありません。10万を越える位の収入が2ヶ月続くと打ち切りが打診されます。

最低賃金が保障される場合とそうでない場合

私:障害がある人が働く場合、最低賃金が保障される人とされない人がいますよね。どこで分けているの?(※北海道の最低賃金は861円 令和元年10月3日発効

Mさん:就労継続支援A型事業所で働く人には保障されていて、B型の人にはされていないですね。給料を払う側から言うと、

A型に通う利用者さんは事業所と雇用契約を結び、その人の労働に対して最低賃金以上を支払う義務がありますが、B型の人に対しては月3000円を下回らなければよく(*)、最低賃金の縛りはありません。

でも、労務の専門家に聞くと、たとえA型であっても、著しく能力に欠けている…と、役所に対し、半額にする申請をすることもできる…らしいです。

私はそれには納得できず、最低賃金を払ってます。

(*)そのB型事業所に通う5〜6人の平均が3000円を下らなければ良いので、Aさんが4000円で、Bさんが1000円とかでもいいとのこと。

働くためにお金を払う!?

生きるために必要なお金。

そのお金は、働くことで得るのが理想ですが、Mさんは、障害があって働く場合で大変なのは、働くためにお金を払う必要があることと言います。

障害によっては、

「水を飲む」「トイレ介助」「落としたものを拾う」「意思疎通」

などなど、働く以前に“生きる”のに必要な基本的な動作をヘルパーさんなど他の人に手助けしてもらう必要があり、「給料を稼ぐ生産活動にはヘルパーは利用できない」深刻な問題も。

(舩後さん、木村さんフレーフレー!!!!)

現状は、障害がある人本人が負担するケースも多いですが、

雇い主である会社が支払うのが理想で、そこには「職場介助者制度」というものがあり、雇い主が申請すると費用の半分を国が払ってくれそうです。

高齢者向けヘルパーの数は多いが障害者ヘルパーは慢性的に不足している…という現実も。

もちろんこうした限りではなく、大企業などに勤め通常の年収を稼いでいる人もいるでしょう。

私は、これら金額や制度のあり方について、ここでどうこう言うつもりはありません。

ただ、障害があっても、使える能力で働き、働くことで自立でき、自立して人々と繋がり、繋がることで互いを知り、互いを知ることで柔軟な社会になってゆく…そうした循環はどうしたら生み出せるだろう…と、Mさんの話を聞きながら思いました。

2019.12.16

注:この文章は、甚だ大雑把で不足している情報も多く、私の捉え違いなどもあろうかと思います。何か間違い等がございましたら、ご一報頂けたら有り難いです。

 

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