vol.107 「働けない」と「働かない」を混同している!?
重度の障害がある参議院議員の誕生で、これまで動かなかった大きな法の壁が
一気にブレイクスルーする期待が高まりましたが、
残念ながら、今期は見送られることになりました。
重度の障害がある人の生活動作を支えるヘルパーさんを、「経済活動(=お金を稼ぐ仕事)」時には使えない=国の補助が受けられない問題です。
仕事中に、水分を摂ったり、トイレに行ったり、パソコンを立ち上げる…などなどの手助けさえあれば、働ける人はいます。
このニュース中のNHKの取材でも、
経済活動以外なら認められている補助制度を仕事中も使えれば、本人1割負担で月1500円程度で済むのが、自腹で払うと1日12,000円、一月14万円もの負担になるとある女性の例を挙げて紹介しています。
今週月曜日の当コラム「障害がある人のふところ事情」でも書きましたが、
誰しも、よほど親や本人に財産が無い限り、通常、日々暮らす費用を働いて稼ぐ必要があります。
しかし、「働こう」「働きたい」と思っても、身体的・制度的に「働けない」「働きづらい」仕組みになってしまっている。
それゆえ「生活保護」と「障害年金」を足した、成人の独身で月11万円のお金をまずは頼りにする他ないわけで、
たとえ、何らかの方法で働くことができた場合でも10万を超える給料を得れば、生活保護費の打ち切りを打診されるとなれば、いったい何のために働いているのかが分からなくなります。
この問題を考える時、いつも思うのは、
“働けない”と“働かない”を混同している…ということです。
また、
コンビニに行くのにヘルパーを使うのは許されるが、パチンコに行くのはダメ
とされている今の制度は、働くことが「遊興や贅沢」と一緒にされているのと同じで、やはり矛盾があると思います。
障害があっても、必要な手助けがあれば働ける人はいます。
官公庁には慣例を破るのを嫌う体質があると言いますし、長年、岩盤のようにうごかなかった壁を壊すには大きなエネルギーが必要なのも分かります。
が、しかし、ここは、むしろ、生産性をあげる可能性につながることを理解し、次期こそは、一気に舵を切って頂きたいものです。
働けさえすれば、税金を払う存在になるのですから。
2019.12.18
*参考:NHKのニュースサイト
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191216/k10012217001000.html?fbclid=IwAR2Tzy6Hhi_n1-_CKxzO2whYn7E6ZRe0kxsp0MTePRK3Z8DRdgphnPjfmFk