協創UDコラム vol.114 健やかさがパない話
アルバイトを始めた高校生の女の子。その面接で…仰天告白!?
先日、母の知り合いからその方のお孫さんについてのちょっとイイ話を聞きました。
高校生になるそのお孫さんは、性格はとても優しくて、思いやりのある良い子なのですが、何か一つの事に集中するのが苦手で、疲れやすく、勉強はあまり得意ではないとのこと。
そんなある日、その子がアルバイトを始めたそうです。
家の近所の居酒屋さん。おっとりしたその子に務まるだろうか?という
家族の心配をよそに、なかなかどうして、
週に2〜3日、もう三ヶ月も通い続けているというのです。
聞くと、その子は、面接の時にこう言ったそうです。
「自分は、人より物事を覚えるのが遅く、知的な発達障害があると思います。
すぐに仕事を覚えられないと思いますし、物忘れすることもあると思います。
疲れやすいので、途中で動けなくなるかもしれません。その時は帰って良いですか。でも、働きたいです。頑張ります。」と。
知的に障害がある?ということを、親も家族も、口に出して言うことはなかったそうですが、その子は、静かに、しっかり自分のことを考え、分析していました。
自分を理解した上で、卑屈になることなく、アルバイト先の人に自分が苦手なことや出来ない事をきちんと説明し、アルバイトにチャレンジした…
なんて魂が健やかなんだろう!?と、その話を聞いて唸りました。
隠しておきたい現実・現状をカミングアウトすることは、大人にとってもそう簡単なことではありません。
いくつもの心の葛藤や迷いを乗り越えて突破する強い決意と、それをどう表現するか…精神的なしなやかさも必要な…人としての高度なテクニックです。
特に、少しでも自分を大きく見せたい思春期の若者にとっては、屈辱的なことと捉えても仕方ない位、山のように高いハードルだと思います。
しかし、彼女は静かにやり遂げたのです。
どうしてそんな凄いことができたの?と、おばあちゃんが聞くと、
その子は、尊敬する先生が話していた
「人は、自分の身の程を知って、謙虚に、花を咲かせるもの」という言葉が常に心にあること、
そして、
「お母さんやおばあちゃんおじいちゃん、家族みんなに可愛がって育てられたから」と言ったそうです。
例え学校の成績が振るわなくても、優しく、背伸びせず、ちきんと自分を判断し、話すべきことを話すことができ、行動に移せるその子は、
まさに魂の健やかさがパない!
半端なくすごい!ことを「パない(=ハンパない)」と、今の若者は表現するらしい…笑
お店の人は、彼女の言葉をきちんと理解し、何かれとなくフォローして下さり、本当に途中で帰ってしまうことがあっても使い続けて下さっているそうです。
頑張っている姿が可愛いと、お客さんにも人気だそうです。
実は、同級生の彼氏もいて、親御さん同士も仲が良いとのこと。
自分の高校時代を遡って考えると、もっと背伸びして、見栄を張って、意地やら無駄なプライドやら、身体と心の成長のバランスが取れず、ロデオのように自分自身に振り回されていたのを思い出し、恥ずかしくなりました(笑)。
2020.1.13