世界がまだ見ぬ“最新バリアフリー”ボールパークへの提案①〜駐車場編 no.126
先日、2023年北広島市に完成予定の
「ボールパークFヴィレッジ」および「エスコンフィールド北海道」を運営する
(株)ファイターズ スポーツ&エンターテイメントさんにお邪魔させて頂き、
建設前の今だからこそ考え、取り入れて頂きたいバリアフリーについてお話しに伺わせて頂きました。
* * * * *
あれだけの大規模建築物であり、かぎりなく公共性も高い施設ですから、もちろん、
バリアフリー法など、法律で義務づけられている基準は、建設・設計を手がける大手ゼネコンとも協力し、満たす準備はしているとのことでした。
しかし、単に法令を守るだけで良いのでしょうか?
例えば、駐車場。
現在の札幌ドームに感じている不便や「もっとこうなったら…」の声を、実際に車いすで行ったことのある友人・知人に聞いてみると…
・止められる台数が少ない
・狭い
・乗降しにくい(介助者がいる場合)
などなど、けっこう耳にすることも多く、たとえ法令を守っていても、不便さを感じているのです。
法令はどうなっているかというと…
一般の駐車スペース50台に1箇所、200台を越える場合は、1/100+2=4台分
という台数の設置が義務とされています。
ボールパークはおよそ4000台分の駐車スペースがあるとのことですから、
4000×1/100+2=42台
といったところでしょうか。
42台分の車いす専用スペースがずらり…正しいのだとは思いますが、毎回それだけの人が本当に使うのでしょうか?また、逆に毎回足りるのでしょうか?
そこで、こんな提案をさせて頂きました。
〈協創UD的提案〉
①4000台を「レギュラーエリア(一般車用 幅250㎝)」と「ラージエリア(大型車・車いす用 幅350㎝)」の2つに区画する。
6:4?7:3?→その割合は、現行の札幌ドームにおける使用数で割り出す。
その心は…
通常、車いす用スペースは、「幅350㎝以上」とされていますが、これだけあると、
実は、いわゆる3ナンバー車やRV車など、大型の車を止めるのにも便利。
実際、一般の駐車場が狭いから、つい車いすスペースにとめる大型車も多いのです。
特にボールパークは、アウトドアレジャーにも対応した施設を目指している分、様々なグッズを積み、大型車で来る人が多いことも予想されます。
それなら、現行の札幌ドームにおける、事前に駐車チケットを購入する「予約方式」で、
もう、大型車だの車いすだのに関わらず、いわゆる「早い者順」で機会を平等にする。
だいたいにおいて、
車いす駐車場の幅が広い訳は、ドアを全開にして乗り降りする必要があるからで、
駐車する場所で全開にして乗り降りする必要がある人は、車いすの人自身が運転する車いすドライバー。自分で運転して来る位ですから、車いすに乗り移ってさえしまえば、入り口に到達するのに問題はありません。(必ずしも入り口近くでなくても大丈夫)
②屋根付きの乗降レーンを設ける(地面と同じ高さ)
自分では運転せず、乗り降りに介助が必要な人でしたら、必ずしも駐車位置でドアを全開にする必要はない訳です。
ですから、運転する人(いわゆる健常者)が、車を取りに行き、屋根付きの乗降スペースにて、乗り降りする…そこに、風よけができる待ち合いスペースがあればベスト。
以上の①②二つの合わせ技で、42台に限定せず、
「予約順」にすることで、誰に対しても平等にアプローチできる権利を保障する。
いわば、ホテルの「シングル」か「ダブル」かを客が選んで予約するのと同じ感覚。
もし、シングルが足りなくて、ダブルに余裕があれば、そちらに割り振る…というホテルのようなフレキシブルな対応があっても良いかもしれません。
それなら、スペースが無駄になることはありませんよね。
そんなバリアフリーとうたわないバリアフリー、最大公約数的解決法はいかがでしょうか?
つくろう。世界がまだ見ぬ“最新バリアフリー”ボールパークを!
2020.2.25
バリアフリーをうたわない最大公約数的バリアフリー