ボールパーク提案検証② トイレについて no.134

月曜日に引き続き、最新“バリアフリー”ボールパーク提案に対する専門家・川内さんから頂いたご寄稿その2。今回は「トイレ」について。

世界がまだ見ぬ“最新バリアフリー”ボールパークへの提案②〜トイレ編 no.127

川内さん:

新国立もそうですが、国は機能分散を進めています。ただ私は、これがいいのかどうか判断しかねています。

特に競技場は機能分散が効果的になりにくいところではないかと思っています。

川内先生近影

川内美彦さん(かわうち よしひこ)さん アクセスコンサルタント・一級建築士・工学博士 元東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科教授 2000年「第一回ロン・メイス21世紀デザイン賞」受賞。 ◆著 書 『ユニバーサル・デザインの仕組みをつくる スパイラルアップを実現するために』学芸出版 『ユニバーサル・デザイン -バリアフリーへの問いかけ』学芸出版ほか (写真は東洋大学webサイトより)

色々なブースがあると、利用者が上手に使い分けられるかがポイントになります。

実は今まででも、一般トイレに簡易型多機能という広めのトイレを設け、

そこにおむつ替えの設備を置いたところがあったのですが、

あるトイレを観察したところ、そこには入り口に平面図も掲示してあったのに

ベビーカー使用者はそれに目もくれず、車いす対応ブースに行列していました。

これからわかるのは、利用者が自分でこうだと思い込んだら、なかなか気が付かないということです。

つまり社会全体がそうならないと、一か所だけが違う方式をとっても有効にならないということです。

でも、社会全体がそうなるまでは時間がものすごくかかります。

そこで重要になるのがトイレを正しく使うための国民への教育です。

これは教室に集めての教育ではなく、ボールパークのサインのやり方などで、さまざまなバリエーションをどう伝えるかが重要になると思います。

協創UD:ベビーカーを伴ってトイレを利用する人は、やはり「広さ」が必要という点で車いすトイレが便利。しかし、従来通りのタテ2m×ヨコ2mのトイレを沢山増やすには限界があると考え、横開きのトイレを増やしては?と、提案しました。もし、それが実現した場合には、川内せんご指摘の通り、横開きのトイレが「車いすの人のみならず、ベビーカーの人も対象になること」を報せるのに、試合の合間に流すCMなどと共に大型ビジョンなどで動画を使ってインフォメーションする…のも、競技場ならではの方法ではないかと思いました。

 

川内さん:

ただそれをやってもうまくいかないのはボールパーク特有の事情です。

多くのスポーツではトイレ使用時間が集中します。短時間に多くの利用者を受け入れなければなりません。

行列ができます。行列に並んで自分の順番が来た時に、自分のニーズに合うブースが空いていなかったらどうなりますか。

一つの選択はそのまま使ってしまう。もう一つの選択は自分に合ったブースが空くのを待つ。

前者は使い勝手が悪く、時には使えないかもしれません。

後者は自分の番がいつ来るかわかりません。その間に競技は再開してしまうかもしれません。

また性的マイノリティ(この方々をLGBTとくくってしまうことについては,いやがる当事者が結構いらっしゃいます)とかオストメイトとかで人に知られたくない場合は、自分に合ったブースを待つことが怪しまれないかと思うと、そういうこともできません。

確かに車いす対応トイレに利用が集中するのは問題ですが、いろいろな人が利用することで助かっている人もいるのです。

ではどうすればいいのか。

それをいま大手のトイレメーカーでは研究しています。

一つの可能性としては、男子、女子のほかに共用エリアを作り、そこに車いす対応、要介助者対応、乳幼児対応、オストメイト対応、そして一般トイレを設けて、誰が使っても怪しまれない場とするという案があります。

それにしても競技場の利用が集中した場合の解決策としては十分ではありません。

トイレというのは本当に難しいです。

協創UD補足:「誰が使っても怪しまれないトイレ」…このご指摘については、こういったイメージ(朝日新聞の記事より抜粋)

東京都の資料より

朝日新聞デジタル記事「「誰でもトイレ」に弱点 五輪・パラ会場、6種類を用意」より

 

また、大手トイレメーカーはTOTOさんで、「考えよう みんなのパブリックトイレ」というパンフレットをネット上に公開しています。

公の空間にありながら、あくまでも「個」の使う環境・事情に考慮する必要があるからです。

TOTOパンフレット

「考えよう みんなのパブリックトイレ」

しかし、TOTOさんのパンフレットのタイトルの通り「みんな」で「考える」ことが何より大切なのだと思います。

より多くの人が「快適」とはいかないまでも、「不快」「悲しい」と感じない最大公約数はどういう形なのかを考えたいものです。

2020.3.25

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