障害がある人々にとってのコロナ問題〜ミライロさんのアンケートから no.140
障害がある人の視点や感性・知性を「バリアバリュー」として社会に発信、様々な革新的事業を展開している(株)ミライロさんで、
この度、障害がある当事者の方を対象に「新型コロナウイルスにおける影響」についてアンケート調査を実施しました。
17ページにまとめられた報告書から見える“障害があるからこそのコロナ禍”について知る、他にはない大変貴重な資料です。
今日は、中からいくつか抜粋し、紹介させて頂きます。
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調査概要は次の通りで…
調査概要
【調査内容】新型コロナウイルスの流行に伴い困った事
在宅勤務・時差出勤・遠隔会議に関して困った事 等
【調査日】2020年3月5日(木)~ 3月9日(月)
【調査対象】ミライロ・リサーチのモニター会員/ミライロIDの登録者
【人数】総回答数:411人
【調査手法】Webアンケート
たった5日間の調査だったにもかかわらず、400人を超える声が集まったことに、実施したミライロさんも、
・障害がある人にとってもコロナウイルスは、非常に大きい影響を及ぼしていることを再認識できた。
・「困っていること」を世に出すことで少しでも現状を知ってもらうこと、そしてその上で出来る範囲の配慮をしてほしいという想いが伝わってきた
と、総括している通り、普段からもできないことや理解してもらいにくいことについては、まずは自己解決を試み、それでもダメなら「訴える」より「諦める」という選択をしている多くの人々が、
アンケートという形で「声を発信する」ことに託す気持ちを感じました。
主な声を抜粋すると…
◇新型コロナウィルスによる影響について
・車いすでは届かない高さに消毒液が置かれていることが多い(肢体不自由)
・日常生活では物を触って確認することが多いのでこの時期特に心配である(視覚障害)
・マスクをしていると会話ができない(聴覚障害)
・どの情報が正しく、そうでないのか、パニックになってしまう(精神障害)
・「ウイルス」という概念がわからず、マスクの着用を拒否される(知的障害児の保護者)
消毒液の高さ
消毒液による手の消毒は、日用品の買い物で訪れる店や施設の入店・退店時に今や欠かせない動作ですが、そこに届かないのは切ない!しかし、これは、高さの問題なので、台を低くすることで比較的簡単に改善できそうです。
そういえば、私も近所のスーパーに行った時、子供が背伸びして消毒液を使っている姿を見ました。
低くすることで、もっと多くの人が使いやすくなりますね!
マスクで会話困難
そして、聴覚障害がある人の「マスクで口や表情が見えない」というのも、なるほどと思いました。
聴覚に障害がある人にとって、話し相手の口の動きや表情は重要な「情報」です。
手話を学んでいた時、手話における手の動きは「文章」で、表情は「形容詞」だと思った位、口や顔の表情は、会話をより立体的で豊かに かつ精密に伝える重要な要素であることを実感しました。
あくびをしているのがバレなくてラッキーなんて、のんきに思っていた自分を反省…。
「触る」のが不安
視覚に障害がある人にとって、触るというのは視覚に代わって周辺を認識するのに大切な情報源。
かたや、ウイルスの感染経路として最も多いのが「接触感染」。
大切な「触る」行為に困難や不安が付きまとうというも、気持ちの上でかなりの負担になるだろうな…と、思いました。
アンケート中には、他に、道案内をお願いする時に必要な「手引き(視覚に障害がある人が、他の人の腕や肩に触って案内してもらう方法)」も、依頼しずらくなったという声もありました。
在宅勤務で…
その他、【在宅勤務】【時差出勤】【遠隔会議】など、コロナ時世下での新しい働き方の変化について、困っている声なども紹介されていました。
中でも、特に最近急激に増えている「テレワーク」について…
・タイピングが遅いためメモを取りづらい(肢体不自由)
・会議に使用するソフトが画面読み上げに対応しておらず、操作が困難(視覚障害)
・音が悪くて聞こえない。画像が粗くて、口元が見えない(聴覚障害)
・部屋が散らかっているので遠隔会議をすることが少し恥ずかしい(発達障害)
おそらく、テレワークは、コロナが過ぎ去った後にも残ってゆくだろう新しいビジネススタイルだけに、今後、こうした「困難」を感じていることをきちんと把握し、改善する方向へ繋げてゆく必要性を感じました。
やはり、「生の声」を知ることが何より大切!!
今回このアンケートを実施・分析・公開したミライロさんと、声を寄せた皆さんに感謝しつつ…
ぜひ、皆さんも、ご覧になってみてください!
2020.4.21