vol.36 街のバリアの見つけ方
「障害がある人の身になって考える」は難しい
障害の有無に関わらず、多くの人が暮らせる街作りをする上で不可欠なのが、街のどんなところがバリア(障壁・障害物)があるのかを知ること。
「障害がある人の身になって考えてみましょう」
なんて言いますが、これが本当に難しい。
障害がある友達と話していても、
「自分も車いすを使うようになって初めて気づいたことだらけ。正直、障害のない状態である状態を想像するのは無理」と、断言します。
しかし、「街ってこんなに不便だったんだ!」と、ある日突然気づく人達がいます。
それは……子育て中のお父さん、お母さんです。
そう、大事な赤ちゃんを乗せたベビーカーを押して街を歩くことで…
*水はけを良くするために歩道が車道側に傾斜がついている…まっすぐ進めない!?
*側溝など、編み目状の部分を通る時、前輪がひっかかってつんのめる!?
*歩道の上がり口に段差があったり、スロープ状になっていても、まっすぐあがりたいのに、横に流れてしまう…!?
さらに北海道だと…
*冬に、ロードヒーティングが敷設されているところとそうでないところに、10数㎝の段差が出現!?
などなど、
かつて、私が制作していた番組の男性プロデューサーさんにお子さんが出来、ベビーカーを使うようになって初めて
「とにかく、道路が歩きにくい!車いすの人はどうしてるんだろう?と、初めて思った」と話してくれたことがあります。
「台車」を気づきのアイテムに
かつて番組で、街のバリアの見つけ方として、「台車」から想像する方法を紹介しました。
台車も、ベビーカーや車いすと同じ「車輪」を使うもの。
車いすは自転車のような大きなタイヤがついているので、イメージが違うように感じるかもしれませんが、実は、体重を支えたり、操作性をよくするため、前方に“小さな前輪”がついていて…これが、わずかな段差にも、よくひっかかります。
台車に重い荷物を載せて運ぶ時…
先に挙げた「歩道の傾斜」「側溝の編み目・段差」の他に、
☆フカフカ絨毯の上では、進みにくい!?
☆凸凹がある道は大変!
☆雨が降ってても傘はさせない…
☆押し引きするタイプの重いドアを、開けながら通ろうとしたら挟まる!?
と、それまでなんとも思わず通っていた道に、様々な障壁・障害物=バリアがあることに気づくことができます。
意識を持たなければ、その場を過ぎれば忘れてしまいますが、
どうか、台車を使う時、ベビーカーやシルバーカー、そして車いすの人が感じる困難を想像してみて下さい。
障害がある人の身に、すこしだけでも近づいて考えることができます。
そうした気づきの積み重ねが、未来の街作りに生きたり、お手伝いする気持ちと行動に結びつくと信じています。
2019.8.28