vol.54 誰もが気兼ねなく鑑賞できる!バリアフリー映画祭@旭川

上映作品は「天気の子」

9月22日(日)連休の中日に、旭川のとある映画祭にでかけて来ました。

旭川は札幌から車で2時間ほど。

受付開始が午前9時とあって、家を7時に出て、掃いたような白い雲が伸びる青空の下、収穫を待つ黄金色の畑や秋まきに備えて耕された土など、パッチワークの風景を横目に、高速道路を北へ北へ。

会場は、JR旭川駅横のイオンモール内にあるイオンシネマ。

到着すると、この日を楽しみにしていた沢山の車いすの子供や大人、白杖をもった人などでロビーがごった返していました。

車いすの子供達がいっぱい!

そう、出かけたのは、「バリアフリー映画祭」。

身体に障害がある人も気兼ねなく楽しめる様々な工夫がこらされた映画鑑賞会です。

上映されたのは、今、大ヒット上映中の新海誠監督最新作「天気の子」!

バリアフリー映画祭のチケット半券

実写と見まごうばかりの街の美しい描写や、見ている自分も遙か上空に浮かぶ雲の上に飛んで行った心地にさせてくれる緻密でダイナミックなアニメーション映像、それらを背景に100%晴れ女の陽菜と、家出した高校生帆高を中心に描かれるスピード感あふれる青春SFストーリー。

さてさて、映画鑑賞におけるバリアフリーとは?

様々な工夫が映画鑑賞を楽しく

旭川の映画祭では、

大きく分けて〈車いす〉〈視覚障害〉〈聴覚障害〉それと〈+α〉に対応していました。

〈車いす〉スロープが整備されていて、会場内にスムーズに入れました。

劇場内にスロープで入り、その延長上の通路に広めの車いすスペースがあり、5人の車いすの方々が並んでいました。また、階段の踊り場が広めのところに、子供用の車いすバギーを持ち上げ、そのすぐ隣の通路端に座る親御さんと一緒に見ているお子さんもいらっしゃいました。車いす鑑賞スペース

車いすは、踊り場が広めだと、持ち上げなくても、こんな風に周囲を支えながら登ろ降りできるんです。

 

〈視覚障害〉音声ガイドが会場に流されました。

視覚に障害がある人が映画鑑賞?と思う人もいるかもしれませんが、台詞や音楽、臨場感など、映画を楽しむ 視覚に障害がある人は多いのです。

音声ガイドを流す機材

音声ガイドを会場に流す機材

🔉 陽菜が部屋へ入ってくる

🔉 新宿駅に向かって走り出す帆高

🔉 雲の間から明るい太陽の光が差し込み、周囲が明るくなる

など、音声ガイドは、台詞の合間に、背景や情景、出演者の出入りや動きなど、「それが分からなければストーリーの進行が理解できない要素」をナレーションでフォローするもの。

以前は、有志のボランティアグループが手作りでつけたりしたいましたが、最近は、音声ガイドを専門に作る会社もできたようで、一部の映画には、新作映画が配給される時期に合わせアプリなどを通じて公開されるものもあるようです。※その話は後日。

〈聴覚障害〉

聴覚に障害がある人に必要なフォローはずばり「字幕」。

台詞や効果音を字幕でスクリーンの下部に映します。外国語映画に日本語の字幕がついているのと同じ感じで、

「陽菜:お腹空いてる?

帆高:ううん、別に… (お腹がぐ〜っと鳴る)

陽菜:あははは!炒飯作るね」 ※雰囲気を思い出して再現。正確なものではありません。

といった感じで、日本語の映画に日本語の字幕をつけるというものです。

これが、意外に私などが台詞を聞きのがした時に便利でした!

 

そして〈+α〉とは…

それは、子供などが大きな声を出したり、ちょっと駆け出したりしてもOK!としていること。障害の有無に関わらず、小さな子供は時に声を出したりするため、気兼ねして映画館には来られないという人のための配慮で、事前にポスターなどで、「OK!」と、表記しておくことで、そうした人に安心して来てもらえるのと同時に、一緒に鑑賞する人に“そうした上映スタイルへの暗黙の了解得る”という訳です。

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映画終了後には、鑑賞しての感想や意見を伺う場が設けられ、

「チケット販売サイトが音声読み上げに対応していない」

「音声ガイドは最初は慣れなかったが、ストーリーに入り込んでいくと、気にならなくなった」

「(知的に障害があるお子さんが)普段あまり表情を出さない子が、映画を見て“不覚にも泣いちゃった〜”と、楽しんでいる様子を見て、来てよかったと思った」

など、様々な意見が挙げられました。

鑑賞後の感想を述べ合う

鑑賞後に感想を延べ合う会が。

旭川では、大学の教授や地元の当事者が作るNPOなどが協力し、年に1度こうした上映会を開くようになって4年目とのことですが、

より多くの人が映画を楽しめるよう、地元の人々が声をかけあって工夫をこらしている素敵な会だなと思いました。

映画は昔から、大勢の人が集まり、一緒にワクワクどきどきして楽しみ、見た後には、どうだった?あのシーンが…など、その後の会話も生み出す大切な娯楽の一つ。

大きな大きな箱に入ったポップコーンをほおばり、ジュースを飲みながら、暗闇の中での迫力ある臨場感を共有する…昨今は、“家でビデオ”という人も多いですが、「映画を見るために出かける」こと自体が、夢ヘの大切なプロセス。

いつの日か、こうした工夫によって、誰もが気兼ねなく楽しめる映画上映が当たり前になる日が来るーーーことを予感させてくれた日曜日でした。

 

2019.9.23

 

 

 

 

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vol.54 誰もが気兼ねなく鑑賞できる!バリアフリー映画祭@旭川” に対して2件のコメントがあります。

  1. 北のカムイ より:

    昨日は札幌から遠路ありがとうございました😊
    さすが、専門家としてのしっかりした評価をありがとうございます😊
    まだまだ課題は溢れてますが、それぞれの課題を提示してくれた当事者もこれからは一緒になって前へ進むことで少しづつ解決していきたく考えてます。
    これからも良きアドバイスをお願いいたします。

    1. barrierfreefront より:

      コメントをありがとうございます。こうした地道な取り組みを続けておられることに頭が下がります。旭川の皆さんはじめ、多くの当事者の方々に与えて頂いたバリアフリーの楽しさを、多くの人に伝えてゆきたいと思っております。何卒、今後ともよろしくお願い致します!

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