vol.68 ユニバーサルデザイン〜奥深い決まり1
7つある!ユニバーサルデザイン(UD)の原則
一般的に、「障害がある人にも優しい」的な考え方として、バリアフリーという言葉はよく知られています。
バリア(障壁)をフリー(無くす)にする…そのまんまなので、分かりやすいのですが、
では、そのバリアフリーと並んでよく使われる「ユニバーサルデザイン」という言葉はどうでしょう?
ユニバーサル(普遍的・一般的な)デザイン……う〜ん、なんだかよく分かりませんよね(笑)。
実は、ユニバーサルデザインには、7つの定義があります。
そもそもの発祥はアメリカで、自らも幼少期に罹患した小児麻痺により車いすユーザーであった工業デザイナーであり建築家 ロン・メイス博士が提唱した考え方で、
7つの原則があります。
ノールカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターが提唱するその7原則を見てみましょう。
原則その① できるだけ多くの人に対し「公平である」
例えば…建物に入るのに階段しかなかった場合、いわゆる足で歩ける人しか入れませんが、そこにスロープをつけたり、最初からつくっておくことによって、
・足の悪いお年寄り
・車いすの人
・ベビーカー、台車を押す人、大きなキャリーバッグを引っ張っている人
……みんなが入れるように、入りやすいようようになりますよね。
原則その② できるだけ多くの人に対し、「柔軟であること」
例えば…昨今の電子マネーはその良い例かもしれません。
現金は、お札は大きさや特殊印刷されたマークで、小銭は大きさや形状で種類を判別しますが、目の不自由な人や手先の動きがゆっくりな人には、財布から金額分だけ取り出すのに手間がかかったり、計算が苦手な人や子供が扱うにも不安が伴いますが、
電子マネーは金額を自分で判別する必要がなく、誰にとっても「払う」という行為がピッと、かざすだけ…と、簡単。
原則その③ できるだけ多くの人に対し、「簡単で分かりやすいこと」
例えば…文章にふりがなをつけること。
日本語には、平仮名、カタカナ、漢字と様々な文字を組み合わせた、世界的にも難しい言語と言われていますが、
昨今の外国人観光客の激増、果ては、外国人労働者も多く暮らす国となった今の日本では、街中の標識や文章に、ふりがなをつけることで、子供をはじめ、戦争で教育を受けられなかったお年寄りなど、より多くの人にとって文字情報が正確に伝わるようになりますね。
原則その④ できるだけ多くの人に対し、「感覚に訴えるデザインであること」
例えば、携帯電話やスマートフォンには、電話やメールが着信した時、音で知らせるだけじゃなく、バイブレーション機能がついているので、音が出せない環境でも、耳の不自由な人にも着信が分かるようになっています。
また、テレビには、画面に、アナウンサーが話していることを要約した字幕を画面の下に出したり、タレントさんが話す言葉…「ほんまかいな!」「まじ?」などをそのままつけるリップスーパーで演出をすることで、耳の不自由な人だけでなく、むしろ、番組に勢いをつける、いまや不可欠な演出となったり。
(齢50を越えた私も、最近、テレビの音声を聞き逃すようになってきたので、そんな時、字幕が出ていると…とっても便利♪)
………というように、ユニバーサルデザイン(UD)は、ただ漠然と“みんなに優しい”という意味合いばかりでなく、きちんとした原則の下で提唱・実践されるているということがお分かり頂けたでしょうか?
次回は、後半の3つの原則と、実はもう一つ…かつて取材させて頂いた北海道在住の大学教授が提唱する、非常に興味深いプラス1の原則と合わせてご紹介します!
2019.10.11