vol.82 nacamise(ナカミセ)発想の源はお伊勢さん
逆転の発想
この1週間はnacamiseの話題をお伝えしています。
今日は、どのような経緯で思いついたのか…自分自身の頭の整理もかねて書かせて頂きます。
ネット社会となった今、バリアフリー業界では、すでに数多のバリアフリーな特定の施設やお店を自由に投稿し、地図に連動させてゆくタイプのアプリやソフト、サイトがあります。
早くから取り組んでいるのが、NPO法人Checkさんが運営する「チェック ア トイレット」、最近では、「Bmap(株式会社ミライロ)」他、各地で様々な新しいツールが生まれています。
nacamiseは、それらピンポイントでバリアフリーな場所を示すものとはちょっと違います。
積極的に「バリアを含めた現状を公開する」…むしろ逆の発想から生まれました。
元をたどると…NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター(以下伊勢志摩BFTC)さんのバリアフリー観光メソッドの基礎となっている「パーソナルバリアフリー基準」にいきつきます。
日本最古の観光地・伊勢で展開している超最新バリアフリー観光
伊勢志摩は、言わずと知れた日本最古の一大観光地。
伊勢神宮で20年に一度行われる、神様が新しいお社に引っ越しをされる「御遷宮(ごせんぐう)」は特に有名で、全国からひっきりなしに観光客が訪れる町なのですが…
しかし、いかんせん、古来からあるゆえに宿泊施設は旅館や古いタイプの温泉宿で、どこも段差などのバリアが多く、交通網の発達と共に、お参りに訪れた観光客は伊勢には宿泊せず、名古屋他近郊の都市に流れてしまう事に。
そこに危機感を感じた三重県や伊勢市は、地元で「車いすでいけるお店」などを紹介する冊子を発行していた民間の有志の方々と協力し、バリアがあるがままの伊勢志摩鳥羽に、どうしたら観光客にとどまって貰えるか…を、障害がある人目線を活かした情報を元に開発するプロジェクトを立ち上げました。
それが現在、鳥羽市に事務所を構え、伊勢を訪れる障害がある人に対し細やかな情報提供を行うNPO法人バリアフリーツアーセンターの活動へと繋がっています。
その伊勢志摩BFTCさんが提唱する「パーソナルバリアフリー基準」こそが、nacamise発想の源。
パーソナルバリアフリー基準を伊勢志摩BFTCのHPから引用すると…
「パーソナルバリアフリー基準」では、障害者の数だけバリアの数はある、という考えにもとづき、「段差あり、なし」などといった画一的な基準ではなく、その施設の「バリア」をすべて詳しく調べあげ、ありのまま紹介するのが特長です。
その上で…
私たちが提供する情報をもとに、旅の魅力と、自身にとっての使い良さを天びんにかけて、どれを選ぶのか。また、バリアを越えて行くのか、行かないのかは、お客さま自身が判断してください。(中略)
そうして調べ上げたバリア情報を元に、こちらでは、問い合わせした人に対し個別にバリアの乗り越え方を提案したり、行きたい・楽しみたい場所に行く方策を一緒に考え、最高の旅をしてもらう(時にはバリアを乗り越えること自体が旅の醍醐味!)…地道かつパワフルな活動を続けていらっしゃいます。
伊勢志摩の方々と親しく交流させて頂く中で、必要なのは、客の側で判断できる現場の状況を知らせることという発想に共感し、私自身、映像の仕事をしていたこともあり、
動画ツールnacamiseを思いつくに至りました。
自分自身にとっての発想の原点さがし…頭の中の情報の棚卸し…として、ここに記させて頂きます。
2019.10.31
*NPO法人Check「チェック ア トイレット」https://checkatoilet.com/index.html
*株式会社ミライロ「Bmap」https://app.bmaps.world/top
*NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター https://www.barifuri.com/
パーソナルバリアフリー基準を紹介しているページ https://www.barifuri.com/tourcenter/personal/index.html