点字ブロックの色のハナシ no.123

点字ブロックは必ず「黄色」じゃなきゃダメ?

多くの人が訪れる施設には、バリアフリー化基準への適合が求められます。黄色い点字ブロック

目の不自由な人の道しるべとなる「点字ブロック」にも基準はありますが、

必ず「黄色」じゃなきゃダメなんでしょうか。

その基準を記した「バリアフリー新法(正式名称:高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」を見てみると…

 

② 色

・視覚障害者誘導用ブロック等は、黄色を原則とする。

・視覚障害者誘導用ブロック等は、視覚障害者誘導用ブロック等とその周囲の床面との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより容易に識別できるものとする。

・視覚障害者誘導用ブロック等を容易に識別できるものとするため、視覚障害者誘導用ブロック等とその周囲の部分(床仕上げ材料)の輝度比を確保することが望ましい。

 

と、あります。

結論から言って、必ずしも黄色じゃなくても良いんです。

目が不自由な人というと、まったく目が見えない「全盲」の人が多いと思っている人も多いですが、実は、視覚障害者手帳を持っている人でも、全盲の方は1〜2割で、

8〜9割は弱視と言われています。

弱視は、それこそ、症状は人それぞれで、視界全体がぼやける、視野の部分部分が欠ける、トイレットペーパーの芯を覗くように見える範囲が狭いなどなど様々。

中でも、「視界がぼやける人」にくっきり見えるように、「色の見分けがつきにくい色弱の人」が見分けやすいように配慮した場合、最も見分け安い色として選ばれたのが「黄色」だった訳ですが、

実は、隣り合う道の色によって、黄色がかならずしも見分けやすいとは限らない場合もあり、

原則は黄色としながらも、周囲の道路との組み合わせが「明度・彩度の差を大きく」したり、「輝度比を確保する」ことでカバーする方法もあります。

* * * * * * *

実際に、新千歳空港の国際線ターミナルビルの点字ブロックは、濃いグレー。

グレーの点字ブロック

新千歳空港国際線ターミナルビルのグレーの点字ブロック

これは、ブロックと隣り合う歩道のブロックの色がオフホワイトで、そこに黄色を合わせると、かえって白とまじりあってしまい、見分けにくいからということで、

輝度計で厳密に測って決められました。

輝度比を図る機械

輝度比測定器〜小型車一台分位の値段するらしい…

また、新千歳空港では、点字ブロックはターミナル入り口を入ってまっすぐにある受付窓口までと、わずかに階段の縁しかありません。

階段の縁は転倒防止の観点ですが、受付窓口までしか設けてないのは、その先は、人が案内する方式を採用したからです。

空港内は、各航空会社のスタッフがそうした案内する訓練を受けていて、それぞれのエリアで引き継ぎします。

施設内を熟知した人が案内した方が安全・安心なんですね。

 

私の友人では数人、全盲でありながら日本全国はおろか海外へも一人ででかける達人はいますが、そうした人は逆に旅慣れているので、あらかじめ、空港にそうした案内を手配し、待ち合わせ場所を決めていますし、

場所に不慣れな目の不自由な人が一人で訪れることはまずありません。

なので、マンパワーでフォローする体制がやはり望ましいのです。

音声ガイドというサポート方法もありますが…そこにガイドがあること自体が分からないことが多く、視覚に障害がある人に聞くとあまり役に立っていない…という話もよく聞きます。と、小さく書いてみる・・・。

「いらっしゃいませ。どの航空会社ご利用で、何時出発ですか?

すぐカウンターに行かれますか?

トイレは大丈夫ですか?近くにありますよ」

こうした会話で案内される方が安心であることは、容易に想像できますよね。

バリアフリー新法などの基準を知った上で、現場でいかに工夫するか。

そこはやはり人と人とのコミュニケーションに勝るものはないと思うのです。人が案内する

2020.2.12

 

 

 

 

 

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