世界がまだ見ぬ“最新バリアフリー”ボールパークへの提案⑥〜 人づくり編 no.131
誰も見たことのない施設と文化をここ北海道に作ろうと挑んでいる北海道日本ハムファイターズ。
道民として誇りに思うと同時にわくわくが止まりません。
それだけに、
誰をも気持ちよく迎い入れる空間創出には、やはり「人づくり」「スタッフ作り」が欠かせないと考え、
真の「心のバリアフリー」が生きたスタジアムを作るのに、またもしつこく提案させて頂くと…
①ぶれない「心のバリアフリー」&障害種別サポート研修
チケットのもぎりに始まって、道案内する人、売り場や人気のコーナーに並ぶの人の列を整理する人などなど、様々なスタッフさんが現在の札幌ドームでも活躍しています。
そうした皆さんに対し、ぶれない「心のバリアフリー」研修を行う。
ぶれない「心のバリアフリー」研修とは、むやみやたらと障害がある人を可哀想と思いこまず、障害や体の不自由によってアプローチできなかったり、
一般の人より時間がかかってお困りになる部分を見極め、冷静に接客・対応する方法を学ぶ研修のこと。
そうした研修は、一度ではなく、定期的に行い、ノウハウの蓄積や実際にあったサポート事例の集積も行い、ぶれない接客サービスを提供しつづけられる体制を作る。
②“エンジェルスタッフ”配置
エンジェルスタッフは、協創UDが考えた言葉です。
いわゆる、インフォメーションカウンターなどで、問い合わせや相談を受ける=受け身ではなく、
やや積極的に声がけして、困っている人をすいあげる、困っている人の前に舞い降りる助っ人をイメージしたスタッフ。
ヒントとなったのが、JR札幌駅における商業施設の取組です。
JR札幌駅に隣接するアピア、パセオ、ステラプレイスなどは、巨大な商業施設が網の目のように広がっていて、
道に迷う人がとても多い場所であることから、各所に設けた受付カウンターだけでは足りず、
館内を掃除しながら、道に迷っていそうな人がいたら、やや積極的に声をかけるスタッフを配置して効果をあげています。
ボールパークも、スタジアムのみならず、様々なエリアや施設が混在する空間であるだけに、そうした舞い降りるエンジェルの存在は、いっそう優しい空間を創り出すに違いありません。
③障害がある若者をスタッフとして採用
障害があったって、元気な若者はたくさんいます。大きな施設だけに、ハード的なバリアフリー度も高いでしょう。ならば…
車いすの生きの良い若者をエンジェルの一員として配置することで、障害がある若者とない若者が一緒に活動し、互いの視点を生かし合いながら、そして、存在を当たり前と受け止めてゆく文化を作る。
スタジアム内に留まらず、社会的人財の育成にもつながります。
④ダイバーシティ対応・検証チームを創る
そうしたノウハウの蓄積や実際にあったサポート事例を集積し、常に入れ替わる大勢のスタッフ間で共有したり、レベルを維持するため、ダイバーシティ対応についての検証チームを作る。
これまでお話してきたことは、体に障害や不自由がある人達に対してだけのものではなく、かぎりなくダイバーシティ(多様)な多くの人にとって優しく便利な施設作りのノウハウとなります。
ここボールパークで集積・蓄積した心のバリアフリー対応ノウハウは、今後、社会の様々な場面で求められてゆく中、貴重かつ強力な先駆的事例となるでしょう。
多くの人を引きつけ、ファイターズを応援する!という共通目標の下に人々が集結するボールパークだからこそ実現する意義があるというものです。
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以上、先日ボールパークを運営する(株)ファイターズ スポーツ&エンターテイメントさんにお邪魔し、お話しさせて頂いたことに加筆し、コラムにまとめさせて頂きました。
建物より、人の心のバリアフリーを図ることの方が実際には難しいこともありますが、
人々を魅了し、ワクワクさせ、誰もが一体になって応援するスタジアムを核としたボールパークが、
多くの人を迎い入れる真に開かれた空間になってくれることを強く願い、したためさせて頂きました。
とりあえず、この勝手な提案シリーズは、今回で一区切りとしたいと思います。
次回は、これら提案について、有識者の先生に頂いたご意見も交えご紹介できればと思っています。
2020.3.13