vol.64 隣人を知る

芝生の上で礼拝するムスリムの人々

昨日は友人に誘われ、札幌近郊の緑豊かな農場にお邪魔してきました。

友人の誘い文句は、「知り合いの農家さんがバーベキューするんだって。北大の留学生さんがカレーを作るって」

爽やかな青空、遠くまで見渡せる澄んだ空気。田園風景を両側に見ながら、友人の車で約1時間半。風はややひんやりしているものの、陽の当たる場所はポカポカな気持ちの良い陽より。

青く澄んだ空と緑

穏やかな農場その農場に着いてみてびっくり!!そこここに、黒や褐色の肌と濃い口ひげを蓄えた男性達が…10…20人位!?、中には、一列に並び礼拝している人も。

聞くと、バングラディッシュ、パキスタン、ウズベキスタン、エジプト、ジンバブエ…などなど国籍も様々。

そう、彼らは、イスラム教を信仰するムスリムの人々でした。

実は、その農場主のMさんは、かつて、青年海外協力隊員として、バングラディッシュなどで活動された経験があり、そうした繋がりをお持ちとのこと。

カレーを作っているのは北大の留学生(といっても、すでに研究者の地位にあるベテランの雰囲気…奥さまも研究者らしい)、日本人女性と結婚して15年日本にいて日本語ペラペラ…中古車の輸出をしている人がいれば、システムエンジニアとして働きに来たという来日してまだ1年という若い人まで。

聞くと、みな、同じ札幌のモスクに通っているとのこと。

「ムスリム同士はすぐに仲良くなれる」そうで、理解のある農場主さんがいることを互いに報せあって今日、集まったといいます。

慣れた手つきで蒔に火を付け、大鍋でぐつぐつ何かを煮ている…そのフタをとって中を見せて頂いたら、えもいわれぬエキゾチックな香りのスパイスで煮込まれるぶつ切りされた鶏肉がゴロゴロ…美味しそう!

様々なスパイスで煮込まれる鶏肉

細長いお米

細長いお米のご飯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煮込む間、私はビールを飲みながら、色々な人とカタコトの英語で話しをしました。

そこで色々知りました。

*戒律で禁止されているお酒はけっして飲まないこと(彼らはずっとピーチネクターを飲んでいた)

*神に許された食事=ハラル(またはハラール)は、全ての食べ物に関するものではなく、野菜、魚、卵、乳製品などは基本何を食べてもOK(ただ、一部の宗派によっては、食べられる魚に制限があるらしい)。

*豚肉(ラードもだめ)を食べてはいけないのはなんとなく知っていましたが、食べても良いとされる鶏、牛、ヒツジであっても、祈りを捧げてからト殺するなど、決まった方法で処理されたものでなくてはいけないこと。

なので、鶏肉や牛肉であっても、スーパーで売っている肉は食べられないのだそうです。

果たして、出来たカレー。

その美味しいことと言ったら!

バングラディッシュからの留学生が作ったカレー

ターメリック、シナモン、チリ、カルダモン、クミン(彼らはキューミンと言っていた)などなどのスパイスで1時間以上煮込んだ鶏肉は味わい深く、別鍋で炊いた細長いお米のご飯と絶妙にマッチ。

最初、プラスチックのスプーンで食べていたのですが、「正式な食べ方はそうじゃないよ。こうして食べるんだ」と、教えて下さった“手で食べる”作法にもトライ!スプーンで食べるのとはまた違う美味しさがあり、骨付き肉も手の方が食べやすい…非常に合理的な食べ方なのだと分かりました。

すでに隣人

彼らは、終始穏やかで紳士的。そしてまた時間になると、祈りを捧げ…、使った鍋を綺麗に洗い(蒔に鍋をかける前に、鍋肌に泥を塗っておくと、ススが取れやすいという裏技があることも知りまし
た)、場を綺麗に片付けていました。

なにやら物騒なニュースで多く耳にする「イスラム教徒」という言葉から想像するイメージと、彼らの穏やかな日常はかけ離れていました。

ムスリムの若者1

ムスリムの若者2ムスリムの若者3相手のことを知ること。知ろうとすること。

札幌にモスクがあることは知っていましたが、ムスリムの人々はすでに街の隣人であることに、改めて気づかせて頂く機会となりました。

相手のことを知ることができれば、相手の嫌がることをせずにすむ。

反対もまたしかり。

今更ながら、互いの情報を交換しあうこと、交流することの大切さ、重要さを感じた秋の一日でした。

2019.10.7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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